雨に宿る

ああ、降ってきましたね。
幾千、幾万、彩雨の糸。
銀の隈取り、緑青の蛙も
いつの間にやら石のうえ、
螺鈿の背中を光らせています。



(とおりを見渡すとどこまでも果てはなく、目の前の一本道さえ、いつかは消えてしまうのだと思った。)



(雨も蛙も背中の光も、さいごは闇に同化して、今このときの美しささえ、いつかは消えてしまうのだと思った。)



ところが、どうでしょう。
この風景の、柔らかなこと。
クリスタルの虹彩は
紫陽花の涙に包まれ
今、万華鏡のように
光の飛沫を透かしています。



透明童話に迷いこんだ
二つの小さなこの瞳は
偽ることもただ忘れて
見えない理想を見ているのです。


こんなにも繊細な彩りを
捉えることができたなら
一ミリばかりの端数さえ
確かな意味があったでしょう。



(雨は大地に平等だから…)



世界の繊維、全容を
解明できない私でも
彩雨に宿る魂を
見守ることはできるでしょう。



今は静かに見守りましょう。

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